「フリーランスになったけど、経費のことが全然わからない」
「スマホも仕事で使っているけど、どうやって経費にすればいいんだろう」
こうした悩みを抱える人は少なくありません。
特にスマホは、仕事にもプライベートにも欠かせないツール。
だからこそ、どこまでが経費にできるのか、その線引きが難しいのが現実です。
結論を先にお伝えすると、スマホ代は「按分」という方法を使えば、業務に使用した分だけ経費計上が可能です。
この記事では、
・スマホ代・通信費の正しい経費計上ルール
・具体的な按分方法
・注意すべきポイント
をわかりやすく解説します。
確定申告で困らないよう、今のうちに正しい知識を身につけましょう。
スマホ代・通信費は「按分」で経費にできる

スマホ代や通信費は、業務で使用した分だけ経費にできます。
ただし、完全に仕事専用のスマホでない限り、全額を経費にすることはできません。
そこで重要になるのが「家事按分(かじあんぶん)」という考え方です。
家事按分とは
家事按分とは、仕事とプライベートで共有している費用を、業務利用の割合に応じて経費計上する方法を指します。
たとえば、スマホの使用時間のうち70%が仕事、30%がプライベートなら、スマホ代の70%を経費として計上できます。
按分割合の決め方
按分割合は、以下のような根拠をもとに決めます。
- 通話履歴(業務関連の通話時間)
- データ通信量(業務用アプリの使用量)
- 仕事で使った日数
- 業務利用時間
また、業務との関連性を証明できるよう、
通話履歴やデータ通信量の記録、請求書や契約書などの証拠書類を保管しておくことが重要です。
経費にできるケース/できないケース

スマホ代の経費計上は、何でもかんでも認められるわけではありません。
明確なルールがあります。
経費にできるケース
- クライアントとの電話やメール連絡
- 業務に必要なオンライン会議
- 業務用アプリの利用料
- 仕事に必要な情報収集
経費にできないケース
- 家族や友人との私的な通話
- 趣味目的のネットサーフィン
- 仕事と関係のないアプリの利用
- 娯楽目的の動画視聴
ポイントは、その通信が業務遂行に必要だったかを基準に判断することです。
業務利用の記録が残っていなければ、経費として認められないリスクもあります。
日頃から証拠をしっかり残す習慣を持ちましょう。
正しく経費計上するための方法

フリーランスが通信費を確実に経費に計上するためには、次の3つのポイントを押さえる必要があります。
1. 正しい記録方法で按分する
通信費を経費計上する際は、業務使用割合に基づき家事按分を行います。
例えば、月額10,000円のスマホ代のうち、業務利用割合が60%であれば、
(借方)通信費 6,000円 /(貸方)現金 10,000円
(借方)事業主貸 4,000円
このように仕訳を行います。
摘要欄には「スマホ代(家事按分60%)」などと記載しておくと、後から見返してもわかりやすくなります。
按分割合の根拠は必ず明確にしておきましょう。
通話履歴の集計や、1週間あたりの業務利用日数などをもとに、根拠を示せるようにしておきます。
2. レシート・領収書を正しく保管する
正しく経費計上するためには、スマホ代や通信費の証拠書類を保管することが必須です。
保管すべき書類は以下の通りです。
- 携帯電話会社の請求書
- 契約書や利用明細
- 通話履歴、データ通信量の記録
- 支払いのレシートや引き落とし記録
これらの書類は原則7年間保管する義務があります。
電子データでの保存も認められていますが、単なる写真撮影だけでは不十分なため、正式な保存方法を確認しておきましょう。
3. クラウド会計ソフトを活用する
クラウド会計ソフトを使えば、面倒な家事按分の設定も簡単に行えます。
たとえばfreeeでは、
- 家事按分する科目(通信費)と事業利用割合を設定
- 設定に基づいて自動的に按分処理
- 毎月の通信費支払いにも自動適用
といった仕組みが整っています。
会計ソフトの導入コストはかかりますが、青色申告の特別控除(65万円)を考えれば、十分元が取れる投資といえるでしょう。
実例紹介|フリーランスの通信費按分

実際にどのように按分しているか、具体的な例を紹介します。
フリーランスエンジニア Tさんの場合
- 月額通信費:18,000円
- 1日の業務使用時間:7時間
- 1週間の業務日数:5日
計算例:
- 時間比率:7時間 ÷ 24時間 ≈ 29%
- 日数比率:5日 ÷ 7日 ≈ 71%
- 業務使用総合割合:29% × 71% ≈ 21%
18,000円 × 21% = 3,780円を経費として計上
フリーランスWebライター Aさんの場合
- 月のスマホ代:5,000円
- 自宅事務スペース:10㎡
- 住宅全体の面積:80㎡
計算例:
- 事業利用比率:10㎡ ÷ 80㎡ = 12.5%
- 経費計上額:5,000円 × 12.5% = 625円
このように、利用状況に応じた按分計算を行うことが大切です。
まとめ

スマホ代や通信費は、業務使用分のみ経費計上が可能です。
まとめると、
- 按分割合は根拠を持って算出する
- 請求書や利用明細など証拠書類を確実に保存する
- 会計ソフトを活用してミスなく処理する
これらを守ることで、正確な経費計上と確定申告が可能になります。
記事の内容を参考に、ぜひスムーズな経費処理を実現してください。